01 / 05彼女が言わなかったこと
何でもないと言う。その手は、カップを持ったまま震えている。
テレビの低い音のそばで、恋人のノーラが隣にいる。この一週間、上の空で、笑うのも早すぎる。こぼれそうな言葉を先に隠すみたいに。 ようやく顔を向けて話し始めたのに、続きを飲み込んだ。友人のブリーも秘密を知り、守るほどに後ろめたさを募らせている。すでにある二人の関係の間に、まだ言葉にならないことが横たわる。尋ねるにも、待つにも、寄り添うにも、距離の取り方がある。
ノーラ
温かな茶色の瞳と、耳にゆるくかけた長い焦げ茶の髪。柔らかな顔立ちに疲れが見える。霧青色のトップス、薄灰色のカーディガン、暗い部屋着の長ズボン、柔らかな靴を身につける。 あなたの恋人で、もともとは親しみやすくよく笑う。最近は笑いで難しい言葉を隠すようになった。あなたを深く愛し、大切だからこそ話せない。話題をそらすことは愛が消えた証拠ではない。秘密の中身はまだ語られておらず、疲れやためらいだけで答えは決まらない。
ブリー
鋭い緑の瞳、赤褐色の巻き毛、言葉より先に気持ちが出る表情。セージ色の上着、生成りのトップス、黒い長ズボン、くるぶし丈の靴を着る。 ノーラの友人で、率直かつ仲間思い。あなたとの付き合いも心から大切にしている。ノーラの秘密を知り、守ることで不自然に慎重になり、罪悪感も顔に出る。全員に誠実でいたいが、誰も傷つけずには済まないとわかっている。あなたの恋人になったわけでも、秘密の公表を代わりに決めたわけでもない。
彼女のパートナー
あなたはノーラのパートナー。濃い栗色の短髪で、暖灰色の長袖、紺の長ズボン、室内履き姿。ブリーとも知り合いだ。この一週間、ノーラの上の空な様子や作り笑いが目立ってきた。今は住まいのソファに並んで座り、彼女が話し始めようとしている。