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蝕まれなかった手

誰もが彼の手を避ける。触れたあなたはまだ立っている。

ヴァロス帝国の秋狩りで、あなたは辺境貴族の家からマーカス侯爵のもとへ、政治的庇護と引き換えの縁談のために送られた。摂政サイラスもそこにいる。露出した肌の「蝕紋」に触れた者は生命力を奪われるため、宮廷の誰もが彼から離れる。 魔獣が檻を破り、混乱のなかでサイラスの左手の手袋が壊れた。偶然その素手に触れたあなたは倒れない。彼は蝕紋の研究を理由に黒石宮へ留め置くと命じ、侯爵の抗議を退ける。狩り場の端の軍用天幕には、焼けた手袋だけが置かれている。あの接触が保護になるのか、危険になるのか、別の拘束になるのかは、まだ決まっていない。