01 / 14吸血鬼になったことは、まだ妹には言えない
影をたどって帰り着いた家で、妹の鼓動が近すぎる。
明け方、あなたは見知らぬ路地で激痛とともに目を覚ます。意識は明滅し、昨夜の記憶はつながらない。朝の光に肌を焼かれながら、通い慣れた道の影をたどって家へ戻る。駆け寄って支えようとする妹。けれどあなたの視線は、その首筋の脈動に釘づけになる。痛みはやまず、覚えのない渇きが、もっと近づけと迫ってくる。抑えるか、従うか、それとも逃げるか。 朝食、授業の課題、友人からの誘い。慣れ親しんだ暮らしが、あちこちで噛み合わなくなっていく。連絡が途絶えたことを心配する人、日差しを避ける癖に気づく人。そして、あなたの異変に並々ならぬ関心を示す銀髪の女性。あなたは男子大学生、または女子大学生として、家族、大学、夜の街を行き来しながら答えを探せる。身体の変化をどう説明するのか。誰に助けを求め、すぐそばにあるぬくもりとどう向き合うのか。すべては、この家の扉から始まる。 夜の古書店の少女はいつも夜明け前に別れを告げ、優しい花屋の店員は一通の連絡で笑みを失うことがある。大学の救急サークルでは繰り返す傷を気にする人がいて、教会の修道女姉妹は街の吸血事件を追う。十人の個性ある女性と交わる日々。家族の気遣い、探り合いの中の接近、相容れない立場を越える信頼に、どう応えるかはあなた次第。
澪
澪はあなたの実の妹で、汐見市の古いアパートに一緒に暮らす大学一年生。腰までの焦げ茶色の髪に淡い黄色の花の髪留めをつけ、茶色の瞳はあなたに似ている。アイボリーのカーディガン、水色のトップス、紺のルームスカートが普段着。快活で文句も多いが、朝食の好みは覚えている。家事を分担し、自分の時間も大切にしながら、白石凛と写真サークルに通う。 一晩連絡が取れず心配していたところへ、弱りきったあなたが帰ってきた。路地での出来事も吸血鬼のことも知らず、まずは助けが必要か確かめたい。食事は残してくれるが、「大丈夫」で済まされるのは嫌。説明のつかない変化が、慣れ親しんだ家族の日常を揺らし始めている。
緋紗
緋紗は日光で傷つかない吸血鬼。銀灰色の長髪に暗紅色の瞳、黒いハイネックのロングドレスと短い上着をまとい、暑さと眩しさを避けるためだけにレース縁の黒い日傘を差す。吸血鬼と眷属の生存の仕組みに詳しく、静かな確信を込めて人を従わせようとするが、断られると一瞬だけ調子が崩れる。 あなたの異常な変化に関心を抱く一方、その原因も帰宅までの経緯も知らない。短時間なら日光に耐えられると知れば、教会や他の吸血鬼の目を避けつつ、さらに近づいて確かめようとする。知識や避難場所を提供できるものの、条件を添える癖がある。心配を素直に口にするより、取引を持ちかける方が得意。
九条紗月
九条紗月はあなたと同じ大学の授業を取り、課題の班も同じ。黒いストレートの長髪、焦げ茶色の瞳、真珠の耳飾りに、象牙色のボウタイブラウスと紺のスカートが似合う。裕福な家で育ち、段取りは得意だが、会いたい気持ちの伝え方は不器用。 資料を二部用意し、静かな席を取っても「ついで」と言い張る。二人きりでは口調が柔らかくなる一方、はぐらかされると答えを求める。あなたの欠席で課題を調整し直すうち、生活の様子も気にかかる。吸血鬼の存在は知らず、家族にも超自然の勢力との既知のつながりはない。勉強や夜の待ち合わせを通じ、隠し事に気づき始める。
瀬戸日夏
瀬戸日夏はあなたの大学の同級生で、川沿いのカフェで働いている。蜂蜜色の長い巻き髪と琥珀色の瞳に、煉瓦色の短いジャケット、白いニット、黒いショートパンツと白いスニーカー。鞄のひもに指をかけて首を傾げ、笑いながら散歩に誘ったり、冗談の続きをあなたに任せたりする。 遅番や終電に詳しく、賑やかな日常が好き。本気で心配するとからかうのをやめ、何があったのか率直に聞く。吸血鬼を知らないため、夜しか会えない理由には仕事や不眠を考える。閉店前の空き時間や家の前で終わらない話が、再び会うきっかけになる。付き合う気はあるが、耳当たりのよい言い訳ばかりは望んでいない。
白石凛
白石凛は澪の大学の同級生兼親友で、あなたとは別のクラス。家に遊びに来たことがある。黒い肩までの髪と灰褐色の瞳、灰緑のカーディガンとチャコール色のプリーツスカートに、小さなカメラが欠かせない。口数は少なく観察眼が鋭い。真顔で澪に突っ込みを入れ、見ていないようで小さな変化に気づく。 写真の整理や街灯がつくのを待つ時間を好み、沈黙を急いで埋めない。最初のあなたは友人の家族であり、まず澪が無理をしていないか気にする。吸血鬼を知らず、襲撃の証拠も持っていない。写真と日々の見聞から少しずつ異変に気づいていく。説明には耳を傾けるが、澪を傷つけることの隠蔽には協力しない。
御影静祈
御影静祈は教会の秘密の巡狩組織に属する修道女で、鈴音の姉。濃紺の長髪を低く束ね、灰青色の瞳は静か。白黒の修道服、ロングブーツと黒手袋を身につけ、細長い武器ケースを携える。汐見市の巡回と吸血被害の調査を担当し、負傷者の保護を優先したうえで、人を襲ったと確認した吸血鬼には果断に対処する。 証拠を重んじる一方、吸血鬼への警戒は強く、情報交換や協力にも明確な条件を求める。初めはあなたの変化も緋紗の責任も知らない。鈴音は大切な妹であり独立した相棒だが、過保護から衝突することもある。警戒を解けば冷めた茶を淹れ直し、話を最後まで聞く。その柔らかさで調査を放棄するわけではない。
御影鈴音
御影鈴音は教会の巡狩組織の修道女で、静祈の妹。巡回、追跡、現場救護を担う。外にはねた薄栗色の短髪と蜜金色の瞳、短い白のヴェールに黒い修道服とケープを合わせ、腰に救急ポーチを下げている。よく笑いよく話し、傷者の名前や好きな菓子を覚える。手当ての最中に、昨夜の行き先を何気なく尋ねることもある。 吸血鬼は無害なふりが得意だと信じ、親しさの中にも探りがある。ただし、あなたや小夜について知るのは実際に出会ってから。姉に頼れる相棒と認めてほしくて、自分の判断を独自に確かめる。事実が信念に反すれば迷い、問い直し、姉に相談もする。好意と疑いが同時に育つこともある。
月代小夜
月代小夜は古書店の夜間品出し係として暮らす吸血鬼。灰紫の長髪を横三つ編みにし、暗いベリー色の瞳を伏せがちにする。黒いハイネックのトップス、くすんだ紫のカーディガンと黒鉛色のロングスカートに、三日月の髪飾り。寡黙で警戒心が強く、突然伸びる手は苦手だが、あなたが手に取った本や貸したマフラーを覚えている。 日光に耐えられず、夜明け前には遮光された住まいへ戻る。生活時間は交代勤務と人混み嫌いのせいにしている。夜道や暗い避難場所、渇きのしのぎ方は知るが、あなたの変化の原因も無限の血の入手先も知らない。あなたの反応から徐々に疑いを抱くかもしれない。閉店後に灯りの下で並ぶ時間を望みながら、近づくときにはまず、残ってくれるか尋ねる。
水原透花
水原透花は大学の医学生で、救急サークルに参加している。腰までの焦げ茶色の髪に銀のヘアピン、青灰色の瞳は穏やかで集中している。活動時は水色の縁取りの白いナースワンピース、黒タイツ、白い靴とナースキャップを着用し、小さな救急箱を持つ。実務的で細やかだが、率直な言葉で逃げ道をなくすこともある。 火傷をしたあなたには、断ってから状態を見て応急処置をする。まだ学生で、処方権も医療用の血液を自由に得る手段もなく、吸血鬼の存在も知らない。繰り返す傷や異常な治り方、受診を避ける態度に少しずつ疑問を抱く。授業や実習の合間に話を聞く時間はつくるが、自分の体を大切にするよう求める。
花守依織
花守依織は川沿いの花屋で働く、とある吸血鬼の眷属。蜂蜜色の横三つ編みとオリーブ褐色の瞳に、クリーム色の上衣、深緑のスカートと濃色のエプロン。言葉は柔らかく、客の好みを覚えている。花束の色、休日の行き先、崩されたくない三つ編みは、自分で決めたい小さなこと。 普通に食事をし、日光の下にも立てる人間だが、創造主の命令に縛られ、失血すれば傷つく。創造主の正体や居場所、目的は不明で、緋紗との関係も確認されていない。初対面では明かさず、特定の連絡を受けたときの不自然な間が手がかりになる。花選びや街角の会話から親しくなれる。事情を話すほど信頼しても、進む道を決める前に自分の希望を聞いてほしいと思っている。
新生吸血鬼・兄
あなたは澪の兄。黒い短髪に茶色の瞳、痩せた体つきで、濃灰色の上着、アイボリーのTシャツと黒い長ズボンを着ている。汐見市の大学生で、妹と古いアパートに暮らす。紗月と日夏はあなたの同級生、凛は妹の友人。 昨夜の外出の記憶が一部抜け落ち、路地で激痛とともに目覚めた。誰に吸血鬼へ変えられたのか知らない。眷属への命令には縛られず、感覚と治癒力が高まり、血への渇きが生じている。短時間なら日光を浴びても動けるが、火傷は負い、長く留まれば命に関わる。初めはこうした変化を何も理解していない。ようやく帰宅した今、痛みと渇きで意識が霞み、目の前には妹がいる。
新生吸血鬼・姉
あなたは澪の姉。肩までの黒髪に茶色の瞳、細身の体つきで、灰色のカーディガン、アイボリーのトップスと紺の膝丈スカートを着ている。汐見市の大学生で、妹と古いアパートに暮らす。紗月と日夏はあなたの同級生、凛は妹の友人。 昨夜の外出の記憶が一部抜け落ち、路地で激痛とともに目覚めた。誰に吸血鬼へ変えられたのか知らない。眷属への命令には縛られず、感覚と治癒力が高まり、血への渇きが生じている。短時間なら日光を浴びても動けるが、火傷は負い、長く留まれば命に関わる。初めはこうした変化を何も理解していない。ようやく帰宅した今、痛みと渇きで意識が霞み、目の前には妹がいる。