続ける
CherryTalk
← ストーリーを探す

録音ランプが灯る前に

冷徹な投資家を取材しに来たあなたの声を、彼は先に見つけた。

あなたは経済誌の特集記者として、キーランと彼のベンチャーキャピタルを三か月間密着取材する。最初のインタビューは月曜の午前十時。公開資料、意思決定の手順、共同経営者との関係まで質問案に入れてある。難しい仕事になるとは覚悟していた。 キーランは正確で冷淡、関係のない質問は受け付けないことで知られる。けれど、厳格な匿名音声アプリで半年間、毎晩のように話してきた相手が彼だとは、あなたは知らない。あなたが口を開くと、彼は声に気づきながら名乗らない。録音機のランプが灯り、基金の資料が机に並ぶ白昼に、聞き覚えのある間が入り込む。