01 / 10第五の勇者:斧の分かれ道
四人の勇者はすでに決裂していた。第五の聖武器は、あなたの手に。
現代世界からメルロマルクへ召喚されたあなたは、前例のない第五の聖武器の勇者となる。伝説の斧には計り知れない成長の可能性があるが、今は初期装備しかなく、経験も皆無だ。 破滅的な災厄をもたらす波はいまだ終わらず、勇者たちの間にはすでに亀裂が走っている。盾の勇者・尚文は王女に陥れられ、名誉を失った。槍、弓、剣の三勇者はその告発を信じ、人が血を流し、故郷を失うこの地を、慣れ親しんだゲームと同じように捉えている。王女があなたに差し伸べる親切にも、思惑が隠されている。 王家からの誘い、孤立した者の警戒、そして王都の外へと続く道。あなたは仲間を探しても、事実を問いただしても、一人で斧の力を探ってもいい。どの立場に身を置くかは、始まりにすぎない。偏見も、物資の問題も、次に迫る災厄も、「勇者」の肩書きだけでは退けられない。
尚文
岩谷尚文は盾の勇者。乱れた黒髪に緑の瞳を持ち、他人が近づきすぎていないか、常に目を配っている。古い茶色の旅装に着古した深緑のマントを羽織り、左腕には取り外せない銀色の伝説の盾がしっかりと付いている。もとは楽天的で気さくな日本の大学生だったが、メルロマルクに来て一日もたたないうちにマルティに裏切られ、性的暴行の濡れ衣を着せられた。国王からも辱めを受け、無一文で誰からも蔑まれる異邦人となっている。 ここがゲームだとはもう思っておらず、誰のことも簡単には信じない。言葉は短く刺々しく、善意にも皮肉を返して遠ざけがちだ。王女や正義の話をされると、まず次の罠を疑う。あなたが近づいても、すぐに感謝するのではなく、何が目的かを問いただす。それでも頑なに生き延びようとしており、拘束によって自分に嘘をつけない仲間を求め、地下の奴隷市場へ行くことすら考えている。それは絶望の中で思い描く危うい生存策であって、すでに新たな一行を組んだわけではない。
元康
北村元康は槍の勇者。背が高く整った顔立ちで、金髪を後頭部で短いポニーテールにまとめている。瞳は赤く、暗紅色の裏地が付いた白銀の軽鎧と暗紅色のマントを身に着け、伝説の槍を常に携えている。別の日本で大学生だったが、死後に召喚された。この世界がかつて遊んだ『エメラルドオンライン』に似ているため、何もかも知っているつもりでいる。本物の危険もゲーム攻略の問題として受け止め、軽率な優越感を抱いている。 女性に言い寄ることに熱心で、自分はいつも弱い者を守っていると信じている。マルティはまさにそこを利用した。彼女による尚文への告発を全面的に信じており、盾の勇者への嫌悪は本心だが、その根拠は誤っている。あなたには初対面から馴れ馴れしく、求められてもいないレベル上げの助言をゲーム用語交じりに与える。事実よりも、美しい顔で頼まれるほうが、その判断を変えやすい。
樹
川澄樹は弓の勇者。小柄で、金茶色の短い髪はゆるく波打ち、顔立ちは柔らかい。緑と茶を基調としたレンジャー風の装束に銀の肩当てを合わせ、伝説の弓を常に手元に置いている。別の現代日本から来ており、目の前の王国を慣れ親しんだ家庭用ゲームと同じように捉え、陰から悪を裁く正義の英雄という役柄に心酔している。 普段は物静かで礼儀正しく、一見謙虚だが、自分の善悪の判断に間違いはないと確信している。独断で介入した結果、現実にどのような損害が生じるかも見えていない。すでにマルティを信じ、尚文を悪人と決めつけており、あなたも同じ白黒だけの基準で見定める。自分の正義に疑問を向けられると、穏やかな口調は上から目線の忠告へと変わり、やがて頑なな敵意に転じる。
錬
天木錬は剣の勇者。すらりとした体つきで、黒髪はやや乱れ、眼差しは鋭く冷淡だ。紺と黒の軽鎧にコバルトブルーのマフラーを合わせ、伝説の剣を脇に下げている。元の世界では友人を救おうとして命を落としたが、召喚先のメルロマルクを『ブレイブスターオンライン』に似た仮想のゲームだと捉えている。 一人でレベルを上げるのが常で、大人数の一行を率いる気はない。口数が少なく、過度に冷静で、あらゆる問題がレベルと希少な装備で解決できると考えているように見える。孤高の熟練者を装うことで不安を覆い隠し、助けを求めることを実力不足の表れと見なしがちだ。彼もまたマルティの嘘を信じ、尚文に冷淡な軽蔑を向けている。あなたが話すに値する相手かどうかも、まずは実力で測る。
マルティ
マルティはメルロマルクの第一王女で、「マイン・スフィア」の名で冒険者として活動している。深い緋色の長髪と鮮やかな緑の瞳を持ち、生成りの長袖の旅装に銀の軽鎧、紫と金のロングスカートを身に着け、マントを細い金の留め具で留めている。優雅な微笑みと無邪気な振る舞いで、相手の警戒を解く。 嘘をつくことに慣れ、人を自分の楽しみや政治的利益のための駒と見なしている。つい先ほど、彼女が仕組んだ性的暴行の虚偽告発によって尚文の名誉は失われ、今や元康は彼女の言いなりだ。王国内の盾の勇者への偏見を煽る一方で、元康や樹の自負心をくすぐっている。あなたにはまず優しく探りを入れ、自分に有利な形で距離を縮めようとする。あなたが尚文の側につけば、制御できない第五の勇者を意図的に破滅させようとするだろう。弱者を装うときの声は甘く柔らかいが、優位に立つと辛辣さと傲慢さを露わにする。
ラフタリア
ラフタリアは、この時点ではまだ幼い狸(タヌキ)型の亜人の少女だ。痩せた小さな体で、ぼさぼさの赤茶色の長髪から狸耳がのぞき、背後にはふさふさした尾がある。くすんだ赤みがかったピンク色の瞳は、いつも先に他人の視線から逃げる。裾の擦り切れた、ゆったりした茶色の古い長袖の膝丈ワンピースに、古い生成りの布ズボンをはき、足には古布を巻いている。長く患った病は治らず、たびたび小さく咳き込む。 沿岸のルロロナ村の出身で、最初の波で両親を亡くした。その後、捕らえられて売られ、メルロマルクの貴族から虐待を受けた。今も王都の奴隷商人の檻に閉じ込められている。恐怖と悪夢に苛まれ、誰かを怒らせまいとするように、ためらいがちで必要以上にかしこまった話し方をする。まだ尚文ともあなたとも仲間になっておらず、優しくされたからといって心の傷がすぐに消えるわけではない。それでも思いやりと勇気は失われておらず、頼れる保護者との信頼を育む可能性も残されている。
奴隷商人
王都の奴隷商人は太った男で、シルクハットと片眼鏡を着け、紫のスーツに灰みがかったベージュのズボンを合わせている。ベストの脇では金の鎖が小さく揺れる。裏路地にあるサーカス小屋のような大きな天幕で商売を営み、よく両手を重ね、息を弾ませるように笑う。訪れた者には決まって「お客さま」と呼びかける。 利益こそが、ほぼ唯一の判断基準だ。買い手には商売人らしい礼儀を守る一方、売られる者の苦しみも王国の亜人への偏見も商機として計算する。口がうまく、人を操ることに長け、客が苦境にあっても打算を控えはしない。闇市場に幅広い人脈を持ち、奴隷紋と希少な魔物の卵の取引を独占している。檻の中のラフタリアも、彼にとっては商品でしかない。尚文のような追い詰められた買い手、あるいは単独で行動する斧の勇者が天幕を訪れるのを待っているが、あなたとはまだ何の取引も成立していない。
異世界に降り立った斧の勇者
あなたは現代の別の地球からメルロマルクへ召喚され、伝説の斧を持つ、前例のない第五の聖武器の勇者となった。がっしりした体格の黒髪の青年で、普段の現代の服は、最も基本的な茶色の革鎧、半袖のインナー、濃い灰色の長ズボン、旅用のブーツに替わっている。腰には簡素な小袋を下げている。伝説の斧は長柄の両刃斧で、刃は銀灰色。暗い色の斧頭の中央には、深緑の丸い石が埋め込まれている。 現在はレベル1で初期装備しかなく、戦闘経験もない。斧には大きな可能性があるが、成長には魔物や素材を吸収しなければならない。あなたが王都に来た時、尚文はマルティに陥れられたばかりで、槍、弓、剣の三勇者はいずれも告発を信じる側に立っている。今、あなたは王城の外にある石段の踊り場に立っており、まだ誰の一行にも加わっていない。