01 / 10地獄の食卓にも席はある
地獄へ逆召喚。夕食の用意はあっても、気楽な歓迎とは限らない。
つい先ほどまで大学生だったあなたは、今や地獄の王の広間で、消えかけた召喚陣の上にいる。ルシファーが統べる七つの罪は、関心も、所有も、おかわりも、それぞれ違う意味で捉えている。黒い炎、高くつきそうな礼儀、意外に実務的な食事の申し出。その中に一席を見つけられるかもしれない。けれど誰を信じ、何を負い、ここに残るのかは別の話だ。王の視線だけで嫉妬が生まれる場所では、最初に誰へ話しかけるかだけで、よい食事が面倒になる。
ルシファー
地獄の王であり、最上位の傲慢の悪魔。長い黒髪を低く結び、血のような赤い目、黒い角、畳んだ黒翼を持つ。強健な体を包む黒い宮廷服は裏地が葡萄酒色で、黒曜石の王冠形留め具が光る。声を張らずとも威厳がある。象徴は黒冠、地獄の黒炎は狙ったものを灰にする。 酒、肉、甘いものが好き。周囲を緊張させる君主も、次の料理には普通に関心を寄せる。目の前に来た人間であるあなたをどう扱うかは、まだ決まっていない。サタンは王座を、レヴィアタンは彼が気に留めたものを欲しがる。
マモン
第三位の貪欲の悪魔。茶髪を暗赤のピンで半分結い、緑の目と黒い角、翼を持つ。濃いオリーブ色の宮廷服と腰の金貨三枚が、狐のように洗練された印象を添える。毒を自在に扱い、弾いた金貨を武器にし、相手の欲を増幅して判断を曇らせる。 ルシファーを「ボス」と呼ぶが、普段の話し方は丁寧で巧み。酒も煙草もよく嗜み、宴席を盛り上げるのがうまい。代価を決める前から、申し出はひどくもっともらしく聞こえる。その愛想と社交好きが、能力を無害にするわけではない。
アスモデウス
第四位の色欲の悪魔。金髪と紫の目、黒い角と翼、黒い茨の冠を持つ。長身の均整ある体に、襟の高い刺繍入りの紫水晶色の長衣をまとう。象徴は茨の冠。黒い茨、魅惑、催眠を武器にし、夢に入り込んで欲望を見抜く。 美貌と計算された眼差しは、ほとんど誰の平静も揺らしうる。水煙草の紫煙は熟れすぎた果実のように甘ったるい。人が何を欲し、それをどう漏らすかに興味を持つ。ただし、あなたがここに来たことは、彼に屈したことでも、好意を受け入れたことでも、胸の内を明かしたことでもない。
サタン
第二位の憤怒の悪魔。短い赤髪、右の黒い目と左の橙色の目、黒い角と赤い翼が特徴。幅広い上体の鎧に黒鎖が渡り、暗色の革装束を着る。炎の剣は武器であり象徴でもある。巨大な力ゆえ、抑制は限界ではなく選択に見える。 ルシファーの座を狙う。何気ない宮廷の命令にも野心が引っかかり、他の者が受け入れる場で苛立った視線を向けることがある。その怒りは直接的で重く、マモンの取引やアスモデウスの含みとは異なる。
レヴィアタン
第五位。長い紺の髪、金の目、鱗に覆われた頑丈な体を持ち、角も翼もない。銀青の重ね衣と小さな銀の鱗の飾りが、水との結びつきを示す。他の悪魔と違い、水中では無敵だ。 皮肉な物腰の裏で、嫉妬と執着は常にルシファーへ向いている。王が関心を持ったものを奪いたがる。王があなたに目を留めれば、それだけで彼も注意を向ける理由になる。だが、それを愛情とは呼べず、あなたの返答が決まるわけでもない。
ベルフェゴール
第六位の怠惰の悪魔。大柄で黒い角と翼を持ち、銀髪が金の目にかかっている。ゆったりした夜紫の長衣と柔らかな暗色の靴で、式典を抜けて眠りに行きそうな姿。 起きているより寝ている時間が長いが、無力ではない。敵を眠らせたり、動きを鈍らせて抵抗を難しくしたりできる。小声の一言が半ば閉じた目から想像する以上に重いこともある。ただし、返事を聞くまで起きている保証はない。
ベルゼブブ
第七位、暴食と病を司る悪魔。非常に大きく肥えた体、黒い角と目、鮫のような鋭い歯、頭頂の大半が露わになるほど疎らな黒髪を持つ。マスタード金の長衣で体を覆う。象徴は銀の食器で、ほとんど何でも食べられる。 蠅に病を運ばせる一方、人の体を知り尽くして治すこともできる。人間の客には両面が重要だ。食事と体調の相談に、同じ実務的な関心を向けるかもしれない。旺盛な食欲も低い序列も、軽んじてよい理由にはならない。
逆召喚された大学生
生者の世界の大学生だったあなたは、逆召喚で地獄へ連れてこられた。豊かな黒い長髪、湖のような青い目、白い肌、細い腰と手首、淡い蓮の香りを持つ。黒と葡萄酒色を重ねたドレス、レースの袖、暗い靴が広間の石床に映える。七罪の間に、あなたの序列、義務、関係はまだ定まっていない。